Glossary

「コンシャスネス・レイジング」(Consciousness Raising、CR)とは、個人やグループの意識を高めるためのプロセスや活動のことを指します。主にフェミニズムや社会運動において、共通の問題や経験を共有し、それに対する意識を高めるための手段として使われます。

1960年代から1970年代にかけての第二波フェミニズム運動で特に重要な役割を果たし、女性たちが集まって個人的な経験や感じている不公平さを話し合うことで、個別の問題が実は社会全体の構造的な問題であることを認識するきっかけとなりました。このようにして、個人的な経験を社会的・政治的な問題として捉え直すことで、より広範な社会的変革への道筋を作ることを目的としています。

コンシャスネス・レイジングは、単に知識を共有するだけでなく、個々の参加者が自分自身や自分の置かれている状況についての理解を深め、集団として行動する力を高めるための重要なプロセスとされています。

コンシャスネス・レイジングを行うには

現代において「コンシャスネス・レイジング」を行うには、いくつかの重要な要素と方法が必要です。以下にいくつかの要点を挙げます。

1. 安全な空間の確保

  • 意識を高めるための話し合いには、参加者が安心して自分の経験や考えを共有できる安全で信頼できる空間が必要です。これは、物理的な場所だけでなく、オンラインコミュニティでも同様です。
  • ジャッジメントのない環境や、プライバシーを保護するためのルール設定も重要です。

2. 多様な視点の取り入れ

  • グループには、異なる背景や経験を持つ人々を参加させ、多様な視点を取り入れることが重要です。これは、議論を深め、より包括的な理解を促進します。
  • 例えば、ジェンダー、性別、民族、年齢、社会経済的背景など、さまざまな属性を持つ人々の声を大切にすることが求められます。

3. 教育と情報提供

  • 誤解や偏見を解消するためには、正確な情報やリソースを提供することが必要です。これには、歴史的背景や現在の社会問題についての資料、研究、データの共有が含まれます。
  • また、専門家の講演やワークショップを開催することも有効です。

4. 対話とアクティブリスニング

  • 意識を高めるためには、対話が中心となります。参加者は他者の話をアクティブに聞き、理解し、共感を示すことが重要です。
  • アクティブリスニングの技術を学び、使用することで、他者の経験や感情に対する理解を深めることができます。

5. デジタルツールの活用

  • ソーシャルメディアやオンラインフォーラムを利用して、広範囲の人々と対話を行うことができます。これにより、地理的な制約を超えて、より多くの人々とつながり、意識を高めることが可能になります。
  • オンラインでのライブイベントやディスカッション、ウェビナーも効果的です。

6. アクションへのつなげ方

  • 単に意識を高めるだけでなく、その意識を行動に移すための具体的な手段を提供することが大切です。例えば、ロビー活動、ボランティア、寄付、コミュニティイベントの参加などです。
  • 参加者が現実の問題解決に向けて行動を起こせるよう、サポートとリソースを提供することが必要です。

7. 継続的な関与とフォローアップ

  • 意識を高める活動は一度きりのイベントではなく、継続的なプロセスであるべきです。定期的なミーティングやフォローアップの機会を設けることで、学びを深め、行動を持続させることができます。

これらの要素を組み合わせて取り組むことで、現代における「コンシャスネス・レイジング」を効果的に実施し、個人および集団の意識を高め、社会的変革を促進することができます。

ZIEN

セルフケア、エンパワーメント、アドボカシーのためのCR(コンシャスネス・レイジング)ってどんなものだろう。今新しい世代がフェミニズムに参加しているいま、こういう地道なローカル活動が必要なんじゃないだろうか

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