Glossary
古典的に女性が就労しなかった仕事や趣味については、文化や歴史的背景によって異なりますが、主に以下のような傾向が見られます。これらの役割分担は、ジェンダーに基づく固定観念や社会的制約によるものでした。
仕事
1. 軍事・戦闘
- 古典的には、戦士や兵士といった軍事関係の職業は男性に限定されることが多く、女性の役割は後方支援や看護にとどまりました。
- 例外として、一部の文化では女性戦士も存在しました(例:アマゾネス、ジャンヌ・ダルクなど)。
2. 鉱業や建設業
- 重労働を伴う鉱山労働や建設業は、長らく男性の仕事とされ、女性が関与することはほとんどありませんでした。
3. 政治や行政
- 政治家や官僚といった職は、多くの社会で男性の独占領域でした。
- 女性が統治者になるのは例外的なケース(女王や摂政など)に限られました。
4. 科学・工学
- 科学者や技術者といった分野は、教育機会の制限により女性が排除されていました。
- 近代以前の女性科学者は、家庭内での実験や研究に限定される場合が多く、公的な認知を受けにくい状況にありました。
5. 商業や金融業
- 商業や金融業(銀行業、株取引など)は、長い間「男性的な」活動と見なされていました。
- 一部の女性は家族経営の商業に関わりましたが、単独で活動することは稀でした。
趣味
1. 狩猟・射撃
- 狩猟や射撃などの活動は、伝統的に男性の嗜みとされていました。
- 女性は、たとえ上流階級であってもこれらの趣味を持つことは少なかったです。
2. スポーツ(特に競技スポーツ)
- 競技としてのスポーツは、19世紀ごろまでほぼ男性の活動でした。
- 女性は体力を強調する活動を避けるべきとされ、乗馬や舞踏のような「優雅」な活動に限定されました。
3. 技術的な趣味(発明・機械いじり)
- 発明や工作といった技術的な趣味は、男性の専売特許と見なされ、女性が関与することは珍しかったです。
4. 冒険や探検
- 地理的探検や航海は、女性が関与することがほぼなかった分野です。
- 女性探検家が出現するのは近代以降のことです。
背景
これらの制限は、社会的ジェンダー規範、教育機会の不平等、経済的な制約などによるものでした。ただし、時代や地域によって例外はあり、特定の女性がこれらの分野で活躍したことも事実です(例:マリー・キュリー、フローレンス・ナイチンゲールなど)。
女性が古典的に従事していた仕事
古典的な社会においても、女性が就労したり趣味として楽しんだ活動はたくさん存在しました。ただし、多くの場合、こうした活動は「家事労働」や「女性的な役割」として期待されるものに限定されていました。また、「仕事」という形で評価されなかったり、非公式な労働として見なされる場合が多かったです。
女性が古典的に従事していた仕事
1. 家事労働
- 家庭内での労働はほぼ女性の役割とされ、これは「仕事」と見なされないことが一般的でした。
- 掃除、洗濯、料理、子育て、農作業の補助など、多くの女性が従事していた重要な労働です。
2. 農業
- 多くの地域で、女性は農作業に積極的に関わっていました。特に田植えや収穫、家畜の世話、保存食の加工などが女性の役割でした。
3. 繊維産業
- 紡績、織物、縫製といった繊維関連の仕事は、女性が行う仕事の典型例です。
- 手工業や家庭内労働として行われ、のちには工場労働として雇用されることもありました。
4. 商業活動
• 市場での売買や小規模な商業(露店、菓子作り、裁縫など)は、多くの女性にとって収入を得る手段でした。
• 中世ヨーロッパでは、女性がギルドに属し、商人として活動する例もあります。
5. 教育・看護
- 教師や看護師、助産師といった職業は、古くから女性が就いてきた職業の一つです。
- 特に助産師は、女性の身体に関わる専門的な職として長い歴史を持っています。
6. 芸術・文筆
- 詩や刺繍、絵画など、芸術的活動は女性の手仕事や趣味の範囲として奨励される場合がありました。
- 一部の女性は作家や詩人として成功を収めました(例:紫式部、クリスティーヌ・ド・ピザンなど)。
7. 奉仕活動
- 宗教的な奉仕や慈善活動(修道女や町の福祉活動)は、女性が活躍する場の一つでした。
女性が楽しんだ趣味
1. 手工芸
- 刺繍、編み物、裁縫、織物などは、女性の典型的な趣味とされました。
- 実用性と芸術性が融合した活動であり、女性が「家庭内の美」を演出する手段でもありました。
2. 音楽と舞踏
- ピアノやリュートといった楽器演奏、歌唱、舞踏は、女性の「たしなみ」として教えられた趣味の一つです。
3. 文学と読書
- 女性は物語や詩、宗教書などを読み、または創作することを楽しみました。
- 一部の女性は読書会や手紙の交換を通じて、知的活動に参加しました。
4. 園芸・花卉栽培
- 庭づくりや花の世話は、特に上流階級の女性の趣味として人気がありました。
5. 料理・保存食作り
- 料理のレシピを研究したり、保存食を作ることも家庭内での創造的な趣味とされていました。
「仕事に就いていない」という固定観念
確かに、歴史的には「女性は家庭にいるべき」という価値観が広く共有されていたため、女性の労働は公式な「仕事」として認識されにくい傾向がありました。しかし、実際には多くの女性が以下のような形で労働をしていました。
- 家庭内労働: 家事、育児、食料生産。
- 副業: 手工芸品の販売、賃金労働(洗濯婦、料理人など)。
- 共有経済への参加: 共同体内での助け合いや交換経済。
これらは「仕事」として明確にカウントされないことが多かったため、「女性は仕事をしていない」という誤解が生じました。
まとめ
女性は長い間「家庭内に留まるべき」とされていましたが、それでも実際にはさまざまな形で労働や趣味活動に関与してきました。家事や農作業、手工芸、教育や看護といった役割が、古典的な女性の活動領域を形成していました。
ZINE
こうやってみると、女性の社会進出は進んだとはいえ、まだまだ古典的な規範が残ってる気がする。〇〇女子、女性〇〇と呼称されること自体が、その〇〇における例外であるような表現だし、その世界のリーダシップを取ってる人は少ない。
ケアのために「家庭内に留まるべき」という価値観が、男性に対する後方支援的な意味をもつ感覚は、まわりの女性にまだまだ感じる。もっと主体的に社会にでて、リーダとして生きていけるように(強制するわけじゃない)なって欲しいと思う。