Glossary
1. #MeTooとハッシュタグフェミニズムの登場
ハッシュタグフェミニズムとは、ソーシャルメディア上でハッシュタグを用いて性差別やジェンダーに関する問題を可視化し、議論や社会運動を促すフェミニズムの形態を指します。#MeTooはその象徴的な例で、2017年にハリウッドのセクハラ問題をきっかけに広がり、多くの女性やマイノリティが自らの経験を共有することで、性暴力の実態を浮き彫りにしました。
2. SNSがもたらした功績
(1) 可視化と声の拡散
- 個人の声がグローバル規模で共有される。
- メインストリームメディアが取り上げなかったテーマが議論され、被害者が「見える化」される。
- 権力者や加害者の責任を問う流れが生まれる。
(2) 共感の力
- 同様の経験を持つ人々が「自分だけではない」と知ることで、心理的な救いを得る。
- 支援のネットワーク形成が促進され、孤立を防ぐ役割を果たす。
(3) 社会への影響
- #MeTooをきっかけに法制度や企業のポリシーが見直されるケースも増加。
- 一部の国や地域ではジェンダー平等への関心が高まり、具体的な政策提案へとつながった。
3. SNSの問題点
(1) 表層的な議論の危険性
- SNSは拡散力が強い反面、議論が表層的になりがち。深い思考や行動を促すには限界がある。
- 「いいね」やリツイートの数が重要視され、具体的な行動や社会的変革に結びつかないケースも多い。
(2) バックラッシュ
- #MeTooに対する反発や、被害を訴えた人々への攻撃(セカンドバイオレンス)が発生。
- 性差別的な言説を強める反応が出ることで、議論が対立的に陥る。
(3) 傷の舐め合いと社会運動化の停滞
- SNSは共感を呼ぶ場として機能する一方で、単なる「傷の舐め合い」になり、行動に結びつかないケースもある。
- 個々の体験共有が集団的な行動につながらない場合、社会的インパクトが限定される。
(4) 注意の分散
- SNSのアルゴリズムは新しいトピックを優先するため、重要な議論が埋もれてしまう。
- 長期的な視点での運動の継続が難しくなる。
4. #MeTooが社会運動化するための課題
(1) 証言を超えた行動へ
- 個人の証言だけでなく、構造的な変革(法制度の改善、教育プログラムの構築など)を求める動きが重要。
- 声を上げることが目的化せず、次のステップに進む仕組み作りが必要。
(2) 包摂的な視点
- #MeTooは主に女性中心に広がったが、性的少数者や男性被害者も含めた広範な視点が求められる。
- 特権階級や西洋中心の視点に偏らない議論が必要。
(3) オフラインでの運動の強化
- SNS上の動きをオフラインの活動(デモ、ワークショップ、政策提言など)と結びつけること。
- 地域コミュニティや実際の行動に結びついたネットワーク作りがカギとなる。
5. 結論
SNSによる#MeTooやハッシュタグフェミニズムは、ジェンダー平等を巡る対話を深める強力なツールであり、被害者に希望を与え、社会的な行動を促す可能性を秘めています。一方で、SNSの特性ゆえに、一過性のブームに終わる危険性や、深い議論や社会運動化の停滞が課題として浮かび上がります。
社会運動化するためには、証言を超えて行動につなげる仕組みや、オフラインでの活動との統合、さらに多様な視点を取り入れる努力が必要です。 SNSの「共感」が原動力である以上、それを建設的な変革に結びつける方法を模索し続ける必要があります。
ZINE
ハッシュタグフェミニズムというのはわたしの造語で、Googleで検索すると、SNSフェミニズムとかいわれていて、いわゆる第4波フェミニズムの特徴だと言われている。日本でも女優でフェミニストの石川優実さんが2019年1月24日につぶやいた#KuToo運動がユーキャン新語・流行語大賞に選ばれるように影響力はあった。
ヒールやパンプスを強制される女性の苦しみを訴えた#KuTooは、その後アンフェ(アンチフェミニスト)と呼ばれる人達からクソリプによるバックラッシュを受けることになる。この主張するものと、否定するものの極端な距離の近さもSNSならではだと思う。
個人的に、デモの呼びかけや感想をハッシュタグで共有するのは、まだ有効だと思ってる。そこにはリアルな社会活動があるからだ。しかしハッシュタグフェミニズムがいまも有効かとおもうと、Xのバックラッシュや、イーロンマスクによるアルゴリズムの改変を考えると、疑問符が残ってしまう。有効だったのに、かえってネガティブキャンペーンに利用されないか。それって私たちの言葉を奪う行為なんだと思う。
ThreadsやInstagramなど別のメディアではまだ有効なんだと思いたい。
そのハッシュタグがあるからこそわたしたちが連帯できるのであれば、それを奪われたくない。
2025年のお正月につとに思う。