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私たちは日々、SNSを通じて情報を受け取り、考え、時には自分の意見を発信しています。社会問題に対して声を上げること、特に不正義や性加害を糾弾する行為は、正しい行動として多くの人に支持されています。しかし、その正義感がどこかで暴力に変わることはないでしょうか?
正義が暴力に変わるメカニズム
SNSでは、1つの投稿が瞬く間に多くの人々に拡散されます。それが正義感に基づいた批判であれば、多くの共感を呼びやすくなります。しかし、共感が数の力を持つと、次第に集団心理が働きます。
集団心理の危険性
心理学者のスタンレー・ミルグラムは「権威や集団の力が個人の判断を歪める」と指摘しました。SNS上では、正義の旗印のもと、他人の投稿に同調する形で過剰な攻撃が行われることがあります。一人ひとりのコメントは「小さな声」かもしれませんが、1000人が同じ相手にそれを向けたとき、受け手にとっては暴力そのものとなります。
アルゴリズムの増幅効果
SNSのアルゴリズムは感情的な投稿や炎上しやすい内容を優先して拡散します。これにより、批判の声がさらに多くの人に届き、炎上が加速します。この仕組みが「数の暴力」を助長するのです。
「正しい批判」とは何か
正義感を抱くこと自体は悪いことではありません。しかし、その表現方法には注意が必要です。批判が「暴力」に変わらないためには、以下の点を意識する必要があります。
1. 感情的にならずに冷静さを保つ
怒りを感じたとき、その感情のまま投稿するのは危険です。少し時間を置き、自分の言葉が相手にどう影響を与えるかを考えましょう。
2. 行動を変える力として批判を使う
批判の目的は相手を攻撃することではなく、行動を改善し、社会を良い方向に変えることです。個人を侮辱するのではなく、問題の背景や構造に焦点を当てましょう。
3. 言葉を選ぶ
「攻撃」ではなく「指摘」をする意識を持ちましょう。たとえば、「こんなひどいことをするなんて最低だ!」ではなく、「この行動には問題があると思います。その理由は…」と伝えることで、相手に届く言葉になります。
フェミニズムの目指す「優しい社会」
フェミニズムが目指すのは、暴力や抑圧がない優しい社会です。それは正義の名のもとに暴力が行われる社会とは対極にあります。SNSで正義感を持つことが悪いのではありません。ただ、その正義が誰かを傷つけ、分断を生むものであってはならないのです。
私たちは今こそ、SNS上のコミュニケーションの在り方を見直し、正義を暴力に変えない方法を模索する必要があります。優しい社会をつくるために、一人ひとりが「言葉の力」をより良い方向に使えるようになりたいものです。
行動の提案
- 冷静さを保つ: 投稿する前に、一呼吸置いて感情を整理する。
- 背景を知る: 批判する前に、問題の背景や事実関係を調べる。
- 建設的な批判: 解決策や代案を提示し、問題解決につながる形で意見を述べる。
- 対話を促す: 相手を攻撃するのではなく、対話を呼びかける。
SNSは、私たちが社会を良くするために使える大切なツールです。だからこそ、その使い方を見直し、「正義が暴力に変わる瞬間」を減らす努力をしていきましょう。
ZINE
SNSによる暴力の連鎖がすごく嫌だ。たんにカーニバル(お祭り)と言う名の炎上騒ぎに参加してるひとりひとりが暴力を振るってるという事にきがついてほしい。たとえ犯罪者であっても路上で石を投げつけられる必要はない。それが罪ならば、正当に裁かれて、罪を償えばいいのだから。
#YasashiiSocietyというハッシュタグを考えて見た。カーニバルを探して、バッシングすることでストレスを解消するのではなく、日々おこなった「やさしい」を共有していきたい