07. 労働
性別役割分業(gender division of labor)
性別によって担う仕事をあらかじめ割り振る社会のしくみ。「男は仕事、女は家庭」という言い方に代表される。近代の工業化で職場と家庭が切り離されたとき、賃金の出る仕事を男性に、家事・育児・介護といった無償のケアを女性に割り当て […]
23.ケアの倫理
ネガティブ・ケイパビリティ(negative capability)
答えの出ない事態や、わからなさのなかに、結論や理由づけを急がずにとどまる力。詩人ジョン・キーツが1817年の手紙で、すぐれた書き手の資質として記した言葉である。20世紀には精神分析家ウィルフレッド・ビオンが、先入観をもた […]
18.社会運動
ハッシュタグフェミニズム(hashtag feminism)
SNSのハッシュタグを目印に、個人の経験や抗議の声を束ね、性差別を社会の問題として見えるようにするフェミニズムの実践。2010年代に広がり、第4波フェミニズムを特徴づける手法とされる。代表例は、性暴力の告発が世界規模に広 […]
18.社会運動
ネオリベラル・フェミニズム(neoliberal feminism)
フェミニズムの言葉が新自由主義に取り込まれ、解放の要求が個人の自己管理へと置き換えられた状態を指す批判的な呼び名。キャサリン・ロッテンバーグが2014年の論文で定式化した。 ここでの「エンパワメント」は、構造を変えること […]
18.社会運動
リーン・イン・フェミニズム(lean-in feminism)
女性が個人の努力で既存の組織の階段を上り、意思決定の場に「一歩踏み出す(lean in)」ことを、ジェンダー平等への道筋とみなす立場。フェイスブックCOOだったシェリル・サンドバーグの著書『LEAN IN』(2013年) […]
20.環境とジェンダー
温暖化の加速(acceleration of global warming)
地球の気温上昇のペースが、これまでの傾向を超えて速まっているのではないか、という論点。2023年に世界各地で観測された異常な高温が、議論の引き金となった。 数字としては、1970年から2008年にかけての上昇が10年あた […]
20.環境とジェンダー
イベント・アトリビューション(event attribution)
個々の異常気象について、地球温暖化がどの程度影響したかを定量的に評価する手法。気候モデルを使い、実際の(温暖化した)気候状態と、人為的な温暖化がなかったと仮定した気候状態の両方を大量にシミュレーションし、両者を比べる。あ […]
23.ケアの倫理
ヴァルネラビリティ(vulnerability)
傷つけられうるという、人間の条件を指す。「脆弱性」「傷つきやすさ」「可傷性」などと訳されるが定訳はなく、カタカナのまま使われることも多い。「脆弱性」はその人の欠陥のように、「傷つきやすさ」は性格のように読めてしまう。訳語 […]
23.ケアの倫理
依存(dependency)
他者の支えなしには生きられないという、人間のありようを指す。日本語では「依存症」「共依存」のように、そこから脱すべき状態を名指す言葉として使われることが多い。だがケアの倫理は、この語に貼りついた否定的な含みそのものを問い […]
07. 労働
脱成長(degrowth / décroissance)
経済成長を目標から外し、生産と消費の規模を意図的に縮小しながら、生活の質と生態系の持続可能性を確保しようとする構想。フランス語のdécroissanceを訳した語で、1970年代の経済学と生態学の議論に源流を持ち、経済学 […]
20.環境とジェンダー
エコフェミニズム(ecofeminism)
女性への抑圧と自然への搾取を、同じ構造から生じるものとして捉える思想と運動。1970年代のフランスで提唱され、1980年代以降、環境運動とフェミニズムの接点で広がった。 主張の骨格はこうである。近代西洋の思考は、文化と自 […]
20.環境とジェンダー
環境レイシズム(environmental racism)
有害な廃棄物処分場、汚染を出す工場、幹線道路といった環境負荷の大きい施設が、人種的・民族的少数者の居住地域に集中して置かれること。またその構造を指す語。 言葉が生まれたのは1980年代のアメリカである。ノースカロライナ州 […]
20.環境とジェンダー
気候正義(climate justice)
気候変動を、排出量や技術の問題としてではなく、公正さの問題として捉える立場。誰が原因をつくり、誰が結果を引き受けるのか。その配分の偏りを中心に置く。 偏りは三つの軸で語られる。ひとつは国のあいだ。産業革命以降に温室効果ガ […]
03.クィアと交差性
遂行性/パフォーマティヴィティ(performativity)
ジェンダーが、あらかじめ内側にある本質としてではなく、繰り返される行為の効果として成り立っているとする考え方。ジュディス・バトラーが1990年の『ジェンダー・トラブル』で提示し、クィア理論の中心概念となった。 まず訳語に […]
23.ケアの倫理
ケア労働(care work)
人の生活を支え、その人が生きていける状態を保つための労働。育児、介護、看護、保育、障害のある人の支援などが含まれる。賃金の支払われるものと支払われないものの両方があり、その境目は制度によって引かれてきた。家庭で親を介護す […]
07. 労働
マタニティ・ハラスメント(マタハラ)
妊娠、出産、育児休業などを理由として、職場で不利益な扱いや嫌がらせを受けること。日本でつくられた言葉で、2010年代前半に広く使われるようになった。 現れ方は幅がある。退職を促す言動、降格や配置転換、契約の更新拒否といっ […]
07. 労働
感情労働(emotional labor)
賃金のために自分の感情を管理し、職務として決められた表情や態度をつくる労働。社会学者アーリー・ホックシールドが1983年の『管理される心』で提示した。調査したのは客室乗務員と債権の取り立て人で、前者は笑顔と穏やかさを、後 […]
03.クィアと交差性
強制的異性愛(compulsory heterosexuality)
異性愛が、個人の自然な好みではなく、女性に対して制度として課されてきたものだとする見方。詩人アドリエンヌ・リッチが1980年の論文で提示した。 リッチの問いは単純である。もし異性愛が自然な選択なら、なぜこれほど多くの力を […]
01.ジェンダー
性自認(gender identity)
自分の性別をどのように認識しているか、という自己の感覚。「女である」「男である」「どちらでもない」など、その内容はさまざまである。他者から見た性別とも、出生時に割り当てられた性別とも、必ずしも一致しない。 訳語をめぐる問 […]
01.ジェンダー
シスジェンダー(cisgender)
出生時に割り当てられた性別と性自認が一致している人を指す語。トランスジェンダーと対になる。ラテン語の接頭辞 cis-(こちら側の)に由来し、trans-(越えて)と対をなす化学の用語法から取られた。1990年代前半に学術 […]