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すべての女性は本質的にフェミニストである

フェミニズムとは、単に「女性の権利を求める思想」ではなく、すべての人が性別による不平等なく生きられる社会を目指す運動です。この理念に照らせば、本来、すべての女性はフェミニストであるはずです。

歴史を振り返れば、女性が教育を受け、投票し、働き、結婚や出産の選択肢を持つことができるのは、すべてフェミニズムの闘いの成果です。もしフェミニズムがなかったとしたら、今日の女性たちが当たり前のように持っている権利は存在しなかったでしょう。

しかしながら、現代において「フェミニストじゃない」と公言する女性も少なくありません。その理由の多くは、フェミニズムに対する誤解や偏見、あるいは個人的な立場の違いに起因しています。

フェミニズムを拒絶する女性たちの背景

1. フェミニズムに誤解を持っている人

  • 「フェミニストは男性を敵視している」
  • 「フェミニズムは特定の政治思想と結びついている」

などの偏った情報が拡散され、フェミニズムそのものを誤解している人がいます。

2. 既存のジェンダー秩序に適応している人

  • 「私は女として扱われるのが好きだから」
  • 「男性に養ってもらえばいいし、権利とかどうでもいい」
  • 「フェミニズムがなくても、自分は困っていない」

このような考えの女性は、フェミニズムの問題を「自分ごと」として感じていません。特に 「家父長制の恩恵を受けている女性」(お金持ちの専業主婦、男性社会でうまく立ち回れるキャリア女性など)は、フェミニズムを不要と考えがちです。

3. 男性社会でうまく立ち回るキャリア女性

男性中心の社会でキャリアを築くことに成功した女性たちの中には、「私は努力してここまで来たのだから、他の女性も努力すればいい」と考え、フェミニズムの必要性を感じない人もいます。しかし、個人の成功が社会全体の構造的問題を解決するわけではありません。こうした女性たちは、社会のルールに適応することで自らのポジションを築きましたが、「女性全体の地位向上」には関心を持たない場合が多いのです。結果として、女性が直面するガラスの天井や職場でのハラスメントなどの問題を見過ごすことにつながります。

4. クイーンビー症候群の女性

組織内で唯一の女性として成功した場合、「私は特別な女性だから成功できた」と考え、他の女性を引き上げようとしないケースもあります。これは「クイーンビー症候群」と呼ばれ、男性社会の中で得た地位を守るために、むしろ他の女性に厳しく接する傾向が見られます。結果として、女性同士の連帯が生まれにくくなり、ジェンダー平等の進展が遅れる要因ともなっています。

5. フェミニストであることが社会的リスクになると考える人

フェミニストを公言すると「過激」「ヒステリック」と見られ、男性から距離を置かれることを恐れる人がいます。

フェミニズムがなければ、女性の権利はなかった

フェミニズムを否定する女性の多くは、自分の生活の中で「すでに権利を得ている」ことを当然視している可能性があります。しかし、それらの権利が得られたのは歴代のフェミニストたちの闘いによるものです。

  • 女性が選挙権を持てるのは、フェミニズムのおかげ
  • 女性が働けるのは、フェミニズムのおかげ
  • 女性が教育を受けられるのは、フェミニズムのおかげ

SNSにおけるフェミニズムの分断と課題

一方で、現代のフェミニズム運動はSNSを介して急速に展開されるようになりました。その結果、ネット上で「ツイフェミ」と揶揄されるような現象も発生しています。

SNSでは、性差別的な事象や発言が瞬時に拡散され、多くの人が問題提起をすることができます。しかし、

  • 感情的な怒りの表出が、問題解決よりも攻撃に向かう
  • 拡散のスピードが速すぎて、冷静な議論が行われにくい
  • 「正義の名のもとに」ネットリンチが発生する

といった問題も指摘されています。

男性の変化なしに、フェミニズムは進まない

フェミニズムは、すべての人がより自由に生きるための思想です。しかし、女性だけが変わろうとしても、社会全体が変わらなければ根本的な解決にはなりません。

  • 女性が職場で活躍するには、男性の育児・家事参加が不可欠
  • 性暴力をなくすには、男性側の意識改革が必要
  • 女性の権利が拡張されることで、男性もジェンダー役割から解放される

フェミニズムは「女性のため」だけのものではなく、すべての人が生きやすい社会をつくるためのものです。男性と敵対するのではなく、男性もまたジェンダーの固定観念から自由になるべきだという視点を持つことが重要です。社会全体が変わることで、初めてフェミニズムの目指す平等な世界が実現するのです。

ZINE

最後の節は大切で、魔女狩りならぬ、魔法使い狩りをして、フェミニズムやジェンダーに抗うひとをネットリンチをしている間は、分断はさらに深まり、男性側の意識改革はすすまないでしょう。

男性を場に引きずり出して、真摯に対話をし、理解しあうことのみがフェミニズムの目指す方向だとおもうのです。

最近は少しずつ男性学も進化しています。男性フェミニストを標榜する人も増えてます。そういう分断を埋めることと、モヤモヤや差別、加害を指摘することは両輪の輪としてやっていかないと行けないんだと思います。

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