宗教的保守の立場から、性・家族・教育をめぐる政策に組織的に介入する政治勢力の総称。1979年に米国で結成されたモラル・マジョリティがその原型とされ、中絶や同性婚への反対を軸に、票と資金を動員する回路をつくった。
日本では、神道政治連盟や日本会議、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)などがこの文脈で論じられてきた。2000年代前半には「ジェンダーフリー」批判として男女共同参画政策と性教育への攻撃が展開され、地方議会や教育現場に具体的な影響を残している。2022年の安倍晋三元首相銃撃事件を契機に、旧統一教会と政治家との関係が可視化され、この結びつきが例外的なものではなかったことが広く知られるようになった。
注意しておきたいのは、「宗教右派」が特定の信仰そのものを指す言葉ではないという点である。問題にされているのは信仰の中身ではなく、それを政治的動員に転換する構造の方だ。とはいえ、この区別は言葉の上ほど簡単ではない。批判が信仰者一般への敵意に滑り落ちるとき、何が失われるだろうか。
→包括的性教育とバックラッシュ →伝統的家族 →同性パートナーシップと同性婚:制度の現状と求められる法的平等 →家父長制(patriarchy)
参考文献
- 塚田穂高『宗教と政治の転轍点——保守合同と政教一致の宗教社会学』花伝社、2015年
- 山口智美・斉藤正美・荻上チキ『社会運動の戸惑い——フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』勁草書房、2012年