自覚されないまま判断に入り込む思い込み。無意識の偏見、無意識の思い込みとも訳される。性別に限らず、年齢、学歴、外見、話し方など、あらゆる属性について働く。
人は膨大な情報を毎回吟味することができないので、経験から作られた近道を使って判断している。その近道が、社会に流通している序列をそのまま写し取っているとき、本人にその気がなくても結果は差別になる。「理系は男性」「リーダーは強い口調」といった連想は、その典型である。
近年は企業や行政の研修でよく使われる語になった。ただし、この語の広まり方には注意がいる。
第一に、無意識だという説明は、しばしば責任の免除として使われる。偏見が意識にのぼらないことと、その帰結に責任がないことは、まったく別のことだ。第二に、研修で自覚を促すだけでは行動はほとんど変わらないことが、繰り返し指摘されている。効くのは、判断の手続きそのものを変える設計のほうである——応募書類から氏名や性別を伏せる、評価基準を先に文章化しておく、決定を一人に任せない。
無意識は、言い訳ではなく、設計を変えるべき理由である。
→ジェンダーバイアス →性差別 →特権 →ステレオタイプ
参考文献
- 内閣府男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」 https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/seibetsu_r03/01.pdf
- キャロライン・クリアド=ペレス『存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』神崎朗子訳、河出書房新社、2020年