性別が社会のなかでどのように作られ、どのように権力と結びついているかを扱う学問領域。特定の学問分野ではなく、社会学、歴史学、文学、法学、医学などを横断する視点として成立している。

前身は1970年代の女性学である。それまでの学問が、男性を人間の標準として組み立てられ、女性の経験を扱ってこなかったという批判から始まった。日本でも1970年代末から研究会や学会が生まれ、大学に講座が置かれるようになる。

「女性学」から「ジェンダー研究」への移り変わりには、対象の広がりがある。問題は女性の側にあるのではなく、性別という区分の作られ方そのものにある。そう捉え直したとき、男性性も、性的少数者の経験も、制度や統計の設計も、すべて研究の対象になる。男性学もクィア・スタディーズも、この広がりのなかから育ってきた。

日本では2000年代に「ジェンダーフリー」をめぐる政治的な攻撃を受け、研究や実践が萎縮した時期がある。近年は関連書の刊行が増え、事典類も整備されつつあるが、大学のポストや予算は依然として薄い。学問として続くかどうかは、担い手が食べていけるかどうかにかかっている——この当たり前の条件が、この分野では常に不安定なままである。

→フェミニズム →男性学 →クィア・スタディーズ

参考文献

  • ジェンダー事典編集委員会編『ジェンダー事典』丸善出版、2024年
  • 伊藤公雄・牟田和恵編『ジェンダーで学ぶ社会学』全訂新版、世界思想社、2015年
  • 井上輝子『日本のフェミニズム——since 1886 性の政治学』有斐閣、2021年

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