英文学者、女性学研究者。岡山県生まれ、静岡県沼津市育ち。津田塾大学大学院を経て、法政大学教授を務めた。1990年代には参議院議員も務めている。
日本のフェミニズムを、大学や運動体の外——テレビの茶の間——に持ち込んだ人物である。1990年代のテレビ討論番組で男性論客と正面から渡り合う姿は強い印象を残したが、同時にその姿は「怖いフェミニスト」の記号として消費され、揶揄の対象にもなった。フェミニズムが広く知られたことと、戯画化されたことが同じ回路で起きている。
主著『愛という名の支配』(1992年)は、愛や家族という言葉が支配をどう覆い隠すかを平易な語りで解いた本で、2019年に新潮文庫で再刊されると、当時を知らない世代に読まれ直した。同年刊行の『We Love 田嶋陽子!』は、その再評価を可視化した一冊である。現在も講演やメディア出演を続け、シャンソン歌手、バティック作家としても活動している。
嘲笑された言葉が、四半世紀を経て読み直される。そのあいだに変わったのは、言葉の側だろうか、聞く側だろうか。
→ラディカル・フェミニズム(radical feminism) →ウーマンリブ →日本社会とリブ・フェミニズム →田中美津
参考文献
- 田嶋陽子『愛という名の支配』太郎次郎社、1992年(新潮文庫、2019年)
- 山内マリコ・柚木麻子責任編集『We Love 田嶋陽子!』エトセトラブックス、2019年
- 田嶋陽子 公式ウェブサイト https://tajimayoko.com/