Glossary
韓国のフェミニズム運動における「4B」や「4T」とは、女性の自立や男性中心社会からの脱却を目指すムーブメントを象徴する言葉です。それぞれの内容と背景、そして問題点について解説します。
1. 4Bムーブメント
4Bは、女性が従来のジェンダー規範から距離を置くために掲げられた4つの原則を指します。
• 非婚 (No Marriage)
結婚制度からの解放を目指し、女性が結婚を選ばないという選択肢を支持します。韓国社会では結婚後、女性が家事や育児の負担を担うことが多いため、結婚が女性の自由を制限する要因とみなされています。
• 非出産 (No Childbirth)
出産によるキャリアの中断や身体的・精神的負担を避けることを目的としています。出産を強いる社会的圧力に抵抗し、自身の生き方を優先する姿勢を表しています。
• 非恋愛 (No Romance)
異性愛中心の恋愛観から距離を置くことを提唱します。特に恋愛が女性に過剰な献身や犠牲を強いる構造への批判が背景にあります。
• 非性関係 (No Sex)
性行為そのものや、性的搾取的な関係からの解放を目指しています。これは、性行為がしばしば男性中心的に消費されることへの反発として登場しました。
2. 4Tムーブメント
4Tは4Bからさらに発展し、フェミニズム運動の中で掲げられた別のアプローチです。「4T」の内容は、フェミニストの中でも意見が分かれるため、代表的な解釈として以下が挙げられます:
• トランスジェンダー排除 (Trans-Exclusion)
トランスジェンダー女性をフェミニズムの枠外に置く排他的な姿勢を指すことがあります。これはTERF(トランス排除的ラディカルフェミニスト)に近い立場です。
• 徹底的分離 (Total Separation)
男性とのあらゆる関わりを断ち切ることを主張します。4Bに含まれる「非婚」や「非恋愛」の徹底版といえます。
• 抗議 (ProTest)
性差別やジェンダー不平等に対する積極的な抗議活動を意味する場合もあります。
• 技術批判 (Tech-Criticism)
性別に基づく技術の格差や監視社会への批判が含まれることがあります。
3. 背景と意義
韓国のジェンダー不平等問題は、長時間労働、男性中心の社会構造、ミソジニー(女性蔑視)の根深さなど、特有の問題に起因しています。これに対して4Bや4Tは、女性が自己決定権を取り戻し、自立するための思想として注目されました。
特に、韓国では2016年の「江南駅殺人事件」をきっかけに、ミソジニーに対する大規模な抗議運動が起こり、若い女性たちがフェミニズムに目覚める契機となりました。このムーブメントはその延長線上にあります。
4. 問題点と批判
4Bや4Tには支持と同時に批判も存在します。
• 排他的な傾向
4Tの一部は、トランスジェンダーや性的少数者を排除する姿勢が批判されます。また、男性を完全に敵視する過激な表現が分断を招くと指摘されています。
• 現実との乖離
非婚や非出産は個人の選択として尊重されるべきですが、経済的・社会的にそれが難しい女性も多くいます。これが一部の特権的な立場の女性の主張に見える場合もあります。
• 男性との協力の欠如
男性を一括りに敵視することで、ジェンダー問題の解決に必要な協力を得られにくくなるとの指摘があります。
• 女性間の分断
フェミニズム内部での思想の違いが顕著になり、4Bや4Tを支持する層とそうでない層との間に溝が生じることがあります。
5. 総評
4Bや4Tは、韓国社会における女性の権利向上に一石を投じたムーブメントとして評価できますが、その急進的な側面が一部で批判を呼び、分断を引き起こす要因にもなっています。これらのムーブメントは、ジェンダー不平等を可視化し、議論を活性化させる役割を果たしてきましたが、さらなる対話や包括的なアプローチが必要とされています。
ZINE
4Bは必須、6Bは発展、4Tは努力だ。
4Bは男性を排除することであり、6Bは女性と連帯することであり、4Tは自分の人生がすなわち運動になるようにするものだ。4Bとは、非婚、非出産、非恋愛、非性交のこと。
6Bとは、上記の4Bに協力(非結婚者が非結婚者を助ける)と非消費(女性嫌悪商品不買)が加わったもの。
4Tとは、脱コルセット、脱宗教、脱アイドル、脱オタクのこと。
更に7Bとは、6Bに非道徳(脱道徳コルセット)が加わったもの。
気持ちはわかる。けど分断を生むだけだ。
男性を否定するのではなく、男性をこちらのフィールドに引き込むことのほうが重要だ。
4Bは非恋愛とふくんでるので、女性同性愛にはならない。そこがわからない。
女性同性愛者のすべてがフェミニストで、男性嫌悪かといわれると、まったくそんなことはない。
4Bには、幼稚なイメージを持ってしまった。
くり返すけど、気持ちはわかる。でもそれは若気の至りだと思う。
ライフスタイルとして非婚、非出産を選んだ友人は何人もいるけど
社会運動としてそれを選択した人はない。