性差別的な言動をする人。形容詞としても使われ、「セクシストな発言」のように、人ではなく行為そのものを名指すこともできる。
この語は少し扱いがむずかしい。人にラベルを貼ると、たいてい相手は防御に回る。「自分は差別主義者ではない」という自己像の防衛が始まり、議論の焦点が、起きた出来事から相手の人格へとずれていく。だから実務的には、人ではなく言動を名指すほうが届きやすい。あなたはセクシストだ、ではなく、いまの発言は性別を前提にしている、と。
とはいえ、名指す言葉を持たないことにも代償がある。名前のない出来事は、我慢するか受け流すかしかなくなる。イ・ミンギョンは、差別に向き合うために必要なのは品のよさではなく、ことばと、答えなくていいという権利だと書いた。セクシストという語は、それが自分の受け取り方の問題ではなく、相手の側にある何かだと示すための道具でもある。
使うか使わないかは、そのつど選べばいい。ただし選ぶためには、まず言葉を持っている必要がある。
→[性差別] →[ミソジニー] →[ジェンダーバイアス] →[マンスプレイニングとマンスプレッド]
参考文献
- イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』すんみ・小山内園子訳、タバブックス、2018年
- 内閣府男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」