アメリカの心理学者。ケアの倫理の出発点をつくった人物として知られる。現在はニューヨーク大学ユニバーシティ・プロフェッサー。

ハーバード大学でローレンス・コールバーグの共同研究者として道徳性発達の研究に携わったが、やがてその枠組みそのものを問い直すことになる。コールバーグの発達段階は、抽象的な原理を適用する能力を成熟の指標としていた。その物差しで測ると、女性はしばしば低い段階にとどまる。だがギリガンは、それを女性の未熟さではなく、理論の側の欠落として読み替えた。関係と責任にそくして考える別の道徳的推論が、聴き取られてこなかっただけではないか、と。

1982年の『もうひとつの声で』は、この問いから生まれた。書名の「もうひとつの声」は、女性の声というより、これまで聴かれてこなかった声を指す。

2025年、第40回京都賞(思想・芸術部門/思想・倫理)を受賞。授賞理由には、「正義の倫理」と「ケアの倫理」を対立させるのではなく編み合わせる展望を示した点が挙げられた。90歳近い現在も執筆を続けている。

→ ケアの倫理/エンパワーメント

参考文献

  • キャロル・ギリガン『もうひとつの声で 心理学の理論とケアの倫理』川本隆史・山辺恵理子・米典子訳、風行社、2022年
  • キャロル・ギリガン『人間の声で ジェンダー二元論を超えるケアの倫理』川本隆史・山辺恵理子・米典子訳、風行社、2025年
  • 京都賞「キャロル・ギリガン」 https://www.kyotoprize.org/laureates/carol_gilligan/

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