経済成長を目標から外し、生産と消費の規模を意図的に縮小しながら、生活の質と生態系の持続可能性を確保しようとする構想。フランス語のdécroissanceを訳した語で、経済学者セルジュ・ラトゥーシュらが理論化した。

出発点は、有限な地球で無限の成長は不可能だという認識である。経済成長と環境負荷を切り離す「デカップリング」は、必要な速度では起きていないという指摘が繰り返されてきた。

ここで問われるのは、何を減らし何を守るかである。脱成長論は、広告、使い捨て製品、化石燃料といった領域の縮小を求める一方で、医療、教育、公共交通、ケアといった領域はむしろ拡充すべきだと主張する。つまり一律の縮小ではなく、配分の組み替えの構想である。

批判も強い。貧困国に成長の放棄を求めることになるのではないか。すでに成長が止まっている日本で語る意味はあるのか。後者については、成長しないまま格差が広がる現状こそ脱成長が想定する状況ではない、という応答がある。

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参考文献

  • セルジュ・ラトゥーシュ『脱成長』中野佳裕訳、白水社(文庫クセジュ)、2020年
  • ジェイソン・ヒッケル『資本主義の次に来る世界』野中香方子訳、東洋経済新報社、2023年
  • 斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社新書、2020年

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