配偶者や恋人など、親密な関係にある者から受ける暴力。身体的なものに限らない。

暴力の形は複数ある。殴る蹴るといった身体的暴力、罵倒や無視や監視による精神的暴力、生活費を渡さない・働くことを禁じる・借金を負わせるといった経済的暴力、意に反する性行為や避妊への非協力といった性的暴力、実家や友人から引き離す社会的な隔離

この問題を理解するうえで重要なのが、暴力が単発の出来事ではなく継続する支配として作動する点である。近年は「強制的コントロール(coercive control)」という概念が用いられる。行動を細かく管理し、判断の自信を奪い、逃げ道を塞いでいく。個々の行為を取り出すと大したことがないように見えるのに、全体としては相手の生活を掌握している——だから外から見えにくく、当人も暴力だと認識しにくい。

日本では2001年にDV防止法が制定され、その後たびたび改正されてきた。2023年の改正(2024年4月施行)では、保護命令の対象に精神的な暴力が加わり、命令の期間が6か月から1年に延長されている。従来は身体的暴力か生命に対する脅迫がなければ保護命令が出せず、実態と合わないという指摘が長く続いていた。

なぜ逃げないのか、とよく問われる。この問いの立て方自体が、支配の構造を見落としている。逃げられない状態を作ることが、この暴力の目的だからである。

→性的同意(sexual consent) →家父長制(patriarchy) →抑圧 →有害な男らしさ(toxic masculinity) →インターセクショナリティ(intersectionality)

参考文献

  • 信田さよ子『DVと虐待——「家族の暴力」に援助者ができること』(医学書院、2002年)
  • 内閣府男女共同参画局「配偶者からの暴力被害者支援情報」
  • エヴァン・スターク『Coercive Control: How Men Entrap Women in Personal Life』, Oxford University Press, 2007

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