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ミソジニー(女性嫌悪)とミサンドリー(男性嫌悪)の「構造性」の本質的な違いは、これらがどのように社会の仕組みや文化、制度に根ざしているか、また、それが個人や集団にどの程度影響を与えるかにあります。以下でその違いを掘り下げます。
1. ミソジニーの構造性
ミソジニーは、歴史的かつ制度的に男性優位社会(パトリアルキー)の中核に組み込まれている現象です。その構造性は次のような特性を持ちます。
a. 権力構造の中核に位置する
• 支配と従属の構造:ミソジニーは、女性を社会的、経済的、政治的に従属的な地位に置く仕組みの一部として機能します。たとえば、女性の権利を制限する法律や、女性を排除する慣習などがあります。
• 制度的支援:法的、経済的、宗教的、教育的な制度が歴史的にミソジニーを支える役割を果たしてきました。これにより、女性差別が個々の行動を超えて社会の構造に組み込まれています。
b. 普遍性と歴史性
• 普遍性:ほぼすべての文化や地域で、程度の差はあれミソジニーが存在してきました。
• 歴史性:長い歴史の中で形成され、男性中心の家父長制と結びついて発展してきたため、変化が遅いという特性があります。
c. システミックな影響
• ミソジニーは、女性に対する個人の嫌悪感や偏見だけでなく、社会的・文化的な構造そのものを形成し、女性が社会参加や個人的成長の機会を奪われる原因となります。
• 例として、職場におけるガラスの天井、政治参加の制限、性的暴力の容認などがあります。
2. ミサンドリーの構造性
一方、ミサンドリーの構造性は、ミソジニーとは異なる形で存在します。その影響や根拠は次のように説明できます。
a. 権力構造との位置づけ
• 反作用的構造性:ミサンドリーの構造性は、多くの場合、男性優位社会への反発として生じます。このため、ミサンドリーは社会全体の中核的な権力構造としては機能しません。
• 限定的な影響:ミサンドリーは特定の文化的文脈や社会運動の中で表出することが多く、ミソジニーほど普遍的ではありません。
b. 歴史的背景
• 対抗的性質:ミサンドリーの歴史は比較的浅く、女性解放運動やジェンダー平等の文脈で一部の人々が男性一般を批判する形で現れることが多いです。
• 局地的な現象:ミサンドリーは特定のコミュニティや状況で顕著に現れるものの、社会全体を形成する力は持っていません。
c. システミックな影響の限定性
• ミサンドリーが男性の生活や機会を直接的に制限する構造的な力は、現代社会ではほとんど見られません。
• 男性嫌悪が表れる場面は、主に個人間の関係や文化的な表現に限られることが多く、それが制度的抑圧に結びつくケースは稀です。
3. 本質的な違い:構造の「根付き方」と「影響の範囲」
a. 社会の中核か、周縁的現象か
• ミソジニーは社会の権力構造そのものを支える中核的な要素であり、これが社会の制度や文化の基盤に深く根付いています。
• ミサンドリーは、多くの場合、そのような権力構造の外側に位置し、男性優位社会への反発や抵抗として周縁的に現れます。
b. 制度的な支援の有無
• ミソジニーは法的、経済的、宗教的制度によって支えられてきたため、その構造性は広範かつ強力です。
• ミサンドリーはそのような制度的支援を欠き、個人や特定の文化的文脈に依存するため、広範な影響力を持つことは少ないです。
c. 普遍性と文脈依存性
• ミソジニーは普遍的かつ長期的な現象として、多様な文化や社会に存在しています。
• ミサンドリーは文脈依存的で、一部の社会的状況やジェンダー運動の中で発生します。
結論
ミソジニーの構造性は、社会の中核的な権力構造に根ざしており、普遍的で長期的な影響を持つものです。一方、ミサンドリーの構造性は反作用的で周縁的な現象であり、影響は特定の状況や文脈に限定されることが多いです。この違いが、両者の本質的な性質と社会への影響を区別する重要なポイントです。
ZINE
ミゾジニーが中核的であり、ミサンドリーが周辺的であるというのが、なぜにフェミニズムが早期にたちあがり、一方、男性学がいまだ一般的にならないのかという理由でもあると思う。
ミソジニーはそれだけ、社会で普遍的な現象であり、解決されるように抗わないといけないものだということだ