自治体を単位として、市民が直接に政治と公共サービスの運営に関わろうとする潮流。municipal(自治体の)に由来する。国政に期待できないとき、生活に近い場所から民主主義をつくり直す試みとして注目されてきた。

象徴的な例が2015年のバルセロナである。住宅の差し押さえに抗する運動から生まれた市民プラットフォーム「バルセロナ・イン・クムー」が市政を担い、住宅政策、水道の再公営化、参加型予算などを進めた。2017年には各国の自治体と運動体が集う国際会議「フィアレス・シティ」が開かれている。

日本では、水道の再公営化をめぐる国際的な動向を紹介してきた岸本聡子が2022年に杉並区長となり、この文脈で語られることが多い。

ここには二つの系譜が混在している。市民のプラットフォームが下から組織化する型と、有能な首長が執行権で改革する型である。前者は時間がかかり、後者は交代した瞬間に何も残らない。速い政治と遅い政治のどちらに賭けるかは、いまも決着していない。

→ コモン/脱成長/クオータ制

参考文献

  • 岸本聡子『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』集英社新書、2020年
  • 岸本聡子『地域主権という希望 欧州から杉並へ、恐れぬ自治体の挑戦』大月書店、2023年
  • Fearless Cities https://www.fearlesscities.com/

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