自分の考えや気持ちを、相手を尊重しながら率直に伝えるあり方。攻撃的に押し通すのでもなく、我慢して飲み込むのでもない、第三の道として位置づけられる。日本では「アサーション」とも呼ばれる。

もとは1950年代の行動療法から出てきた技法だが、広まったのは1970年代のアメリカである。女性解放運動のなかで、女性向けのトレーニングが各地で開かれた。背景には、女性が自分の要求を口に出すことを、幼いころから抑制されてきたという認識があった。技法を学ぶ前に、そもそも「言っていい」という前提を取り戻す必要がある。そこがこの実践の出発点だった。

日本には1980年代に紹介され、企業研修や学校教育にも広がっている。具体的な手順としては、状況を客観的に述べ、自分の気持ちを伝え、望むことを提案し、相手の反応に応じる、という段階を踏む型が知られている。

ただし、注意しておきたいことがある。同じ言い方をしても、受け取られ方は話し手によって変わる。はっきり意見を述べる男性は「明確だ」と評価され、同じ女性は「きつい」と言われる——この非対称は、本人の伝え方を改善しても消えない。アサーティブネスを個人のスキルの問題に閉じてしまうと、伝わらない責任まで本人が背負うことになる。技法として有効であることと、それだけでは足りないことは、両方とも本当である。

→フェミニストカウンセリング →エンパワーメント →ミソジニー

参考文献

  • 平木典子『改訂版 アサーション・トレーニング——さわやかな〈自己表現〉のために』日本・精神技術研究所、2009年
  • ジェンダー事典編集委員会編『ジェンダー事典』丸善出版、2024年

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