炊事、掃除、洗濯、育児、介護など、家庭のなかで行われる労働。賃金が支払われないため「アンペイドワーク(無償労働)」とも呼ばれる。

この言葉が問題を含むのは、家事が「労働」と呼ばれてこなかったからである。労働とは賃金と引き換えに行われるもの、という近代的な定義のもとで、家事は愛情や自然な役割の表れとされ、経済の外側に置かれてきた。だが賃労働に出る人が働けるのは、食事や衣服や休息が誰かによって用意されているからだ。1970年代のマルクス主義フェミニズムは、この点をとらえて、家事労働は労働力を日々つくり直す再生産労働であり、資本主義はそれを無償で利用してきた、と論じた。

無償であることは、統計上の不可視とも結びついている。家事はGDPに算入されない。内閣府の推計では、無償労働の貨幣評価額はGDPの2割を超える規模になる。総務省の社会生活基本調査は、家事関連時間の男女差が大きいままであることを示し続けている。

無償労働に賃金を支払うべきなのか、それとも分担のあり方そのものを変えるべきなのか。この問いは半世紀ものあいだ、答えが定まっていない。

→ケアエコノミーとプロヴィジョニング →近代家族 →賃金・所得格差 →労働の女性化

参考文献

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