すべての人に、無条件で、定期的に、個人単位で現金を給付する構想。資力調査も就労要件もない点が核心にある。

思想的な源流は古く、トマス・ペインが1797年に、土地の私有によって失われた共有権の補償として全成人への給付を提案している。20世紀にはミルトン・フリードマンの負の所得税など、左右双方から類似の構想が提出されてきた。

支持の理由は立場によって異なる。行政コストの削減を重視する側と、労働と生存の切り離しを重視する側では、同じ制度に別の期待をかけている。フェミニズムの側からは、無償のケア労働に初めて対価が与えられるという評価と、女性を家庭に押し戻すのではないかという懸念の両方が示されてきた。

フィンランドが2017年から2年間、失業者2000人に月560ユーロを給付する実験を行い、就労への影響は小さい一方で精神的な健康は改善したと報告されている。

現行の選別的な給付との最大の違いは、条件を審査しないことにある。審査がなければ、受給資格をめぐる線引きもスティグマも生じない。

ベーシックサービス/生活保護/コモン

参考文献

  • ガイ・スタンディング『ベーシックインカムへの道』池村千秋訳、プレジデント社、2018年
  • 原田泰『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』中公新書、2015年
  • フィンランド社会保険庁(Kela)”Results of Finland’s basic income experiment” https://www.kela.fi/basic-income-experiment

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