経済的な理由から生理用品を十分に手に入れられない状態。ナプキンの交換回数を減らす、トイレットペーパーで代用するといった対処につながり、皮膚のトラブルや感染のリスク、そして学校や職場を休むことによる機会の損失を招く。
政策課題として最初に大きく動いたのはスコットランドである。労働党議員モニカ・レノンによる数年がかりのキャンペーンを経て、2020年11月に生理用品の無償提供を定める法律が全会一致で成立し、2022年8月に施行された。自治体と学校に提供を義務づけた法律としては世界初で、対象は「生理用品を必要とするすべての人」と定められている。
日本では2021年以降、コロナ禍での困窮を背景に議論が広がった。同年3月に豊島区が無償配布を始めたのを皮切りに取り組みが全国へ拡大し、内閣府の調査では2022年7月時点で700を超える自治体が実施または検討に入っている。2022年の厚生労働省の調査では、18歳から49歳の女性のうち8.1%が生理用品の購入に苦労した経験があると答えた。
批判的な論点も出ている。ひとつは、生理用品が消費税の軽減税率の対象になっていないこと。もうひとつは、無償配布が善意の寄付や一時的な事業にとどまりやすく、恒常的な制度になりにくいことである。さらに、「生理の貧困」という切り口が広まったことで、その背後にある女性の貧困そのものが見えにくくなるという指摘もある。
公衆トイレのトイレットペーパーが無償なのはなぜか。この問いに答えられるなら、生理用品についても同じ答えが出るはずである。
→月経(menstruation) →SRHR →アンペイドワーク(unpaid work/無償労働) →ベーシックサービス →抑圧
参考文献
田中ひかる『生理用品の社会史』(角川ソフィア文庫、2019年)
内閣府男女共同参画局「『生理の貧困』に係る地方公共団体の取組」(各年版)
厚生労働省「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」(2022年3月)