男らしさを誇示し、男性が優位に立つことを当然とする態度。スペイン語の macho(雄)に由来し、ラテンアメリカやスペイン語圏の文化を語る文脈で使われてきた語である。日本語では「男性優位主義」と訳される。
現れ方は、大声で場を仕切ること、弱さや助けを求めることを恥とすること、女性を守るべき対象として扱いつつ決定からは外すこと、など。強さの誇示と保護者ぶることが同居する点に特徴がある。
ヘゲモニックな男性性と似ているが、水準が違う。ヘゲモニックな男性性は、社会のなかで男性のあり方がどう序列づけられているかという構造を指す概念である。マチズモは、その構造が個人の振る舞いとして表に出たときの、目に見える形を指している。構造を分析する語と、態度を名指す語、と考えるとわかりやすい。
日本ではもともと外来の概念として紹介されたが、近年は日常のなかの小さな決めつけ——電車の座り方、会議での話し方、家事の分担——を指して使われることが増えた。遠い文化の話ではなく、身近な場面を言い当てる語として定着しつつある。
この語が使いやすいのは、行為を名指せるからである。人格ではなく振る舞いを指すので、変えられるものとして扱える。そこがこの語の実用的な強みだと言える。
→ヘゲモニックな男性性 →男性学 →ホモソーシャル
参考文献
- 武田砂鉄『マチズモを削り取れ』集英社、2021年
- R・W・コンネル『マスキュリニティーズ——男性性の社会科学』伊藤公雄訳、新曜社、2022年
- ジェンダー事典編集委員会編『ジェンダー事典』丸善出版、2024年