地球の気温上昇のペースが、これまでの傾向を超えて速まっているのではないか、という論点。2023年に世界各地で観測された異常な高温が、議論の引き金となった。
数字としては、1970年から2008年にかけての上昇が10年あたり約0.18℃だったのに対し、近年15年の観測データは10年あたり約0.3℃を示唆している。元NASAのジェームズ・ハンセンらは、今後30年の温暖化が1970年代以降のトレンドの1.5倍から2倍のペースで進むと予測し、議論を広げた。
原因については複数の説があり、決着していない。大気汚染対策の進展や2020年の船舶燃料の硫黄分規制によってエアロゾルが減り、それまで太陽光を遮っていた効果が失われたという説。雲量の低下で地球の反射率が下がったという説。強いエルニーニョや十年規模の自然変動、2022年のフンガトンガ噴火を挙げる研究者もいる。いずれも全貌は分かっていない。
この「原因不明」という状態は、二つの方向に使われうる。事態の深刻さを示す根拠としても、排出削減の有効性を疑う根拠としても。どちらの読み方をするかは、データではなく、読む側が決めている。
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