夫婦が望む場合に、婚姻後もそれぞれの姓を保てるようにする制度。民法750条は夫婦が「夫または妻の氏を称する」と定めており、法律で夫婦同姓を義務づけている国は現在の日本だけである。改姓するのは約94%が女性の側で、制度は形式上中立だが、負担は一方に偏って生じている。
1996年、法制審議会は選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案要綱を答申した。しかし30年を経ても国会提出には至っていない。最高裁は2015年と2021年に合憲判断を示しつつ、制度のあり方は国会で論じられるべきだとした。2024年には女性差別撤廃委員会(CEDAW)が改めて導入を勧告している。
2025年には28年ぶりに民法改正案が国会で実質審議された一方、政府・与党は戸籍上の同姓を維持したまま旧姓の通称使用を法制化する方向に舵を切った。別姓の導入か、通称使用の拡充か——分岐点は「同一戸籍・同一氏の原則を動かすかどうか」にある。日本弁護士連合会は2026年3月、通称使用の法制化に反対し、別姓の速やかな導入を求める会長声明を出した。
名前は、誰かに与えられるものだろうか。それとも、自分で持ち続けるものだろうか。
→家族と戸籍 →伝統的家族 →男女共同参画運動と、男女共同参画社会基本法 →ジェンダー平等(gender equality)
参考文献
- 日本弁護士連合会「選択的夫婦別姓制度」https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/gender/01.html
- 時事ドットコム「夫婦別姓 関連ニュース」https://www.jiji.com/jc/v7?id=202501surname
- 東京新聞〈社説〉「衆院選2026 選択的夫婦別姓 男女平等の決意を問う」2026年2月4日 https://www.tokyo-np.co.jp/article/466523