差別によって不利な位置に置かれてきた集団に対し、進学や採用、昇進などの機会を積極的に確保する措置。日本の法令では「積極的改善措置」、政策の場では「ポジティブ・アクション」と呼ばれることが多い。

考え方の前提はこうである。差別を禁止するだけでは、すでに開いてしまった差は縮まらない。同じスタートラインに並ばせても、そこに至るまでの経路が違っていたなら、結果は変わらない。だから、機会そのものを配分し直す必要がある——これがこの措置の論理である。

批判は当初から強い。属性を理由に扱いを変えることは、それ自体が差別ではないか。能力ではなく属性で選ぶことになるのではないか。この議論はアメリカで長く争われ、2023年、連邦最高裁は大学入試で人種を考慮することを違憲と判断した。さらに2025年には、連邦政府と契約する企業に積極的措置を求めてきた1965年以来の大統領令が撤回されている。制度としては、大きく後退した局面にある。

日本では、男女共同参画社会基本法が積極的改善措置を定めている。議会の候補者を男女均等にするよう政党に求める法律もあるが、いずれも努力義務にとどまり、割当制は導入されていない。数値目標は繰り返し先送りされてきた。

「実力で選ぶべきだ」という主張は、実力が公平に測られている場合にのみ成り立つ。その前提が満たされているかどうかが、本当の争点である。

→男女共同参画 →インターセクショナリティ →性別役割分業

参考文献

  • 辻村みよ子『ポジティヴ・アクション——「法による平等」の技法』岩波新書、2011年
  • 内閣府男女共同参画局「ポジティブ・アクション」 https://www.gender.go.jp/policy/positive_act/index.html
  • ジェンダー事典編集委員会編『ジェンダー事典』丸善出版、2024年

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