同性間の、性愛を含まない社会的な結びつき。とくに男性同士の連帯を指して使われる。文学研究者イヴ・K・セジウィックが1985年の『男同士の絆』で理論化した。
セジウィックの指摘の核心は、男性同士の絆が単なる友情ではなく、**女性を媒介として結ばれる**という点にある。男性同士の関係が、女性をやりとりする三角形の構図を通じて確認される。そこで女性は主体ではなく、交換される対象の位置に置かれる。
さらに重要なのは、この絆がホモフォビア(同性愛嫌悪)とミソジニーを必要とすることだ。男性同士の親密さは、同性愛と峻別され続けなければ成立しない。だから同性愛者への排除が働く。同時に、女性的とされるものを退けることで男らしさが証明される。
この構造は、男性にとっても抑圧的である。絆の内側にいるためには、たえず男らしさを証明し続けなければならない。企業や政治の場に残る排他的なネットワークは、その日常的な現れといえる。
→ 家父長制/ミソジニー/有害な男らしさ/男性学
**参考文献**
– イヴ・K・セジウィック『男同士の絆 イギリス文学とホモソーシャルな欲望』上原早苗・亀澤美由紀訳、名古屋大学出版会、2001年(原著1985年)
– 上野千鶴子『女ぎらい ニッポンのミソジニー』紀伊國屋書店、2010年(朝日文庫、2018年)
– 前川直哉『男の絆 明治の学生からボーイズ・ラブまで』筑摩書房、2011年