フェミニスト理論家、活動家。イタリア・パルマ生まれ。1967年に渡米し、ホフストラ大学で長く教えた。現在は同大学名誉教授。
1972年、国際フェミニスト集団の共同創設者として「家事労働に賃金を(Wages for Housework)」運動を国際的に立ち上げた。要求の核心は、実際に賃金を得ることそのものより、家事が「愛」や「自然な役割」ではなく労働であると社会に認めさせることにあった。見えない労働に値札をつけようとする行為が、それを見えるようにする——という戦略である。
2004年の『キャリバンと魔女』は、彼女の名を広く知らしめた。マルクスが資本主義の出発点として描いた「本源的蓄積」=土地の囲い込みと並行して、もう一つの囲い込みがあった、という主張である。16〜17世紀ヨーロッパの魔女狩りは、女性を出産と再生産に縛りつけ、身体と知識(避妊や堕胎の知)を国家と資本の管理下に置く過程だった。歴史学からは実証面での批判もあるが、資本主義とジェンダーを一つの過程として読む枠組みは、以後の議論に決定的な影響を与えた。
近年はコモンズの再生をめぐる論考が多く、ラテンアメリカのフェミニスト運動とも接続している。80代のいまも執筆と講演を続けている。
支払われないことは、価値がないことではない。むしろ支払われないからこそ、そこに依存できるのだ、という反転がここにある。
→アンペイドワーク(unpaid work/無償労働) →マルクス主義フェミニズム/社会主義フェミニズム →コモン/コモンズ(common / commons) →家父長制(patriarchy)
参考文献
- シルヴィア・フェデリーチ『キャリバンと魔女——資本主義に抗する女性の身体』(小田原琳・後藤あゆみ訳、以文社、2017年)
- Silvia Federici, Revolution at Point Zero: Housework, Reproduction, and Feminist Struggle, 2nd ed., PM Press, 2020
- Silvia Federici, Witches, Witch-Hunting, and Women, PM Press, 2018