男性への嫌悪や蔑視を指す語。ミソジニーの対義語として提示されることが多いが、両者を対称に扱えるかどうかが、この語をめぐる最大の論点である。

ミソジニーは、法制度、宗教、教育、労働慣行といった社会の仕組みに歴史的に組み込まれ、女性の従属を支える構造として働いてきた。これに対しミサンドリーは、そうした制度的な裏づけを持たない。多くの場合、男性優位の秩序に対する反発として、限定的な文脈で現れる。同じ「嫌悪」という語で呼べても、社会に及ぼす力の規模がまったく異なる。

この非対称を無視して「どちらも差別だ」と並べる語り方は、しばしばフェミニズムへの反論として用いられる。形式的には公平に見えるが、権力の偏りを不可視にする効果を持つ。

とはいえ、個々の男性への蔑視的な言葉が正当化されるわけではない。問われているのは、それが構造として機能しているかどうかである。

→ ミソジニー/メンズライツ/家父長制

参考文献

上野千鶴子『女ぎらい ニッポンのミソジニー』紀伊國屋書店、2010年(朝日文庫、2018年)

ケイト・マン『ひれふせ、女たち ミソジニーの論理』小川芳範訳、慶應義塾大学出版会、2019年

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