子宮内膜が周期的に剥がれ落ち、血液とともに体外へ排出される現象。周期はおおむね25日から38日、出血の続く期間は3日から7日程度が目安とされるが、個人差も、同じ人のなかでの月ごとの差も大きい。
医学的には、月経困難症(強い痛みを伴うもの)、月経前症候群(PMS)、より重い月経前不快気分障害(PMDD)などが区別される。かつて「がまんするもの」とされてきたこれらは、現在では治療の対象である。低用量ピルや子宮内システムによって出血を軽くしたり、周期を調整したりする選択肢もある。
社会的には、月経は長く穢れと結びつけられてきた。日本各地には月経中の女性を隔離する月経小屋が近代まで残り、山や祭祀の場からの排除も広く行われていた。学校教育で扱われる際にも、月経は男女別に、それも「隠すべきもの」を前提とした作法として教えられてきた歴史がある。
用語として注意が要るのは、月経と「女性」を等号で結ばない書き方である。月経がある人のなかにはトランス男性やノンバイナリーの人が含まれ、女性であっても月経がない人は多くいる——年齢によっても、体質によっても、治療によっても、生まれつきの体のつくりによっても。近年の公的な文書が「月経のあるすべての人」という言い方をするのは、この事情による。
毎月のことでありながら、語る言葉がいちばん育っていない領域のひとつである。
→生理の貧困 →DSDs(体の性の様々な発達) →SRHR →ジェンダー規範 →セルフケア
参考文献
- 田中ひかる『生理用品の社会史』(角川ソフィア文庫、2019年)
- 杉山由加里ほか編『月経のはなし——歴史・行動・メカニズム』(中公新書、2013年)
- 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン——婦人科外来編」