自分の身体と、産む・産まないの選択について、必要な情報と医療にアクセスし、強制も差別もなく決められること。健康(Health)と権利(Rights)を切り離さずに扱うところに、この枠組みの要点がある。

国際的な出発点は1994年のカイロ国際人口開発会議である。それ以前の人口政策は、国家が出生数を管理するという発想に立っていた。カイロ会議は、その主語を国家から個人へ——とりわけ女性へ——移した。2018年にはガットマッハー研究所とランセット誌の委員会が定義を拡張し、性的な健康や、暴力からの自由も含める整理を示している。

日本の状況は、この枠組みから測ると遅れが目立つ。刑法の堕胎罪はいまも残っており、母体保護法のもとで配偶者の同意が求められる運用が続いている。中絶についても、経口中絶薬メフィーゴパックが承認されたのは2023年である。

緊急避妊薬は長く処方箋が必要だった。2023年11月から一部薬局で試験販売が始まり、2025年10月にスイッチOTC化が承認され、2026年2月2日から処方箋なしで購入できるようになった。ただし販売できるのは要件を満たす薬局に限られ、薬剤師の面前で服用する運用が残っている。価格も1錠7千円前後で、アクセスの課題は続いている。

包括的性教育の不足も、この枠組みでは中心的な論点である。知らされていないことは、選べないことと同じだからだ。

→月経(menstruation) →生理の貧困 →性的同意(sexual consent) →エンパワーメント →ジェンダー主流化

参考文献

  • 「カイロ国際人口開発会議 行動計画」(1994年)
  • Guttmacher-Lancet Commission, “Accelerate Progress: Sexual and Reproductive Health and Rights for All”, The Lancet, 2018
  • 塚原久美『日本の中絶』(筑摩選書、2022年)

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