性別にもとづく偏った見方が、判断や評価、制度設計にまぎれこむこと。多くは意図的な差別としてではなく、「普通そうだから」という前提の形で働くため、当事者にも自覚されにくい。この自覚されにくさそのものについては、アンコンシャスバイアスの項目で扱う。
見えにくさの典型が、データの偏りである。ジャーナリストのキャロライン・クリアド=ペレスは、自動車の衝突試験用ダミー、医薬品の臨床試験、公共交通の設計、除雪の優先順位といった領域で、標準的な人間として男性の身体と生活が想定されてきたことを膨大な事例で示した。悪意はどこにもない。にもかかわらず、結果として女性の負傷率や副作用の見落としが積み上がる。
ここで起きているのは、女性が例外として扱われているというより、男性が「例外のない標準」として扱われているということだ。標準の側にいる人には、自分が標準であることが見えない。データに穴が空いていても、その穴は穴として認識されないまま設計に組み込まれていく。
悪意がないことは、免責の理由にはならない。
→アンコンシャスバイアス →性差別 →特権 →ジェンダー
参考文献
- キャロライン・クリアド=ペレス『存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』神崎朗子訳、河出書房新社、2020年
- 内閣府男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」 https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/seibetsu_r03/01.pdf