法律上の性別が同じ二人が、法律上の婚姻をすること。日本の民法および戸籍法は同性間の婚姻を想定した規定を置いておらず、同性カップルは婚姻届を受理されない。

しばしば混同されるが、自治体のパートナーシップ宣誓制度は婚姻とは別物である。制度は全国に広がり、社会的な承認という点では意味を持つ。しかし相続権、税制上の配偶者控除、社会保障、外国籍パートナーの在留資格、医療現場での意思決定といった、婚姻に伴う法的効果はそこにない。証明書はあっても、法的な家族にはなれない。制度が普及したことと、権利が保障されたことは、別のことである。

2019年2月14日、札幌・東京・名古屋・大阪の各地裁で「結婚の自由をすべての人に」訴訟が一斉に提訴された。同年9月には福岡でも、2021年には東京で二次訴訟が始まり、計6件となる。争われているのは、同性婚を認めない現行法が憲法に違反するかどうかである。

高裁段階では、6件のうち5件が違憲判断を示した。2024年3月の札幌高裁は、憲法24条1項が定める婚姻の自由が同性間にも及ぶとし、同年12月の福岡高裁は幸福追求権を定める13条違反にも踏み込んでいる。一方、2025年11月の東京高裁(二次訴訟控訴審)は、婚姻を法律上の男女と解することに合理性があるとして、唯一の合憲判断を出した。

判断が分かれたことを受け、2026年3月25日、最高裁第三小法廷は6件すべてを大法廷に回付した。15人の裁判官全員が審理し、この問題について最高裁が初めて憲法判断を示すことになる。

争点の中心は、憲法24条1項の「両性の合意のみに基いて成立する」という文言をどう読むかにある。この条文は、戦前の家制度のもとで本人の意思を無視して行われた結婚を否定するために置かれた。個人の意思を守るための規定が、いま別のカップルを排除する根拠として持ち出されている——この逆転をどう考えるかが、判断の分かれ目になっている。

世界では30か国以上が同性婚を法制化し、アジアでは2019年に台湾が最初に導入した。G7のうち、同性カップルに婚姻またはそれに準じる全国的な法制度を持たないのは日本だけである。

婚姻という制度そのものを問い直すことと、その制度から排除された人が入る権利を求めることは、矛盾するだろうか。それとも、同じ問いの両面だろうか。

→選択的夫婦別姓 →家族と戸籍 →性的指向 →ヘテロノーマティビティ →宗教右派

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