女性への抑圧を、資本主義という経済構造との関係で捉えようとする立場。家事や育児といった無償の労働が、労働力を日々つくり直し、資本主義を成り立たせているという指摘がその核心にある。マルクス主義フェミニズムが階級構造を主要な説明軸に置くのに対し、社会主義フェミニズムは、資本制と家父長制というふたつの支配が絡み合っているとみる。ハイジ・ハートマンはこの関係を「不幸な結婚」と呼び、日本では上野千鶴子が『家父長制と資本制』で理論化した。誰の労働が数えられ、誰の労働が数えられないのか——この問いは、ケアの倫理やエッセンシャルワーカーをめぐる議論にそのまま引き継がれている。無償であることは、無価値であることを意味しない。むしろ数えないことによって、支えられている側の姿が見えなくなる。
→[家父長制(patriarchy)] →[アンペイドワーク] →[エッセンシャルワーカー] →[ケアの倫理] →[不可視化されてきた労働]
参考文献
- 上野千鶴子『家父長制と資本制——マルクス主義フェミニズムの地平』岩波書店、1990年(岩波現代文庫、2009年)
- Heidi Hartmann, “The Unhappy Marriage of Marxism and Feminism: Towards a More Progressive Union”, Capital & Class, Vol.3 No.2, 1979
- シルヴィア・フェデリーチ『キャリバンと魔女——資本主義に抗する女性の身体』小田原琳・後藤あゆみ訳、以文社、2017年(原著 Caliban and the Witch, 2004)