出生、婚姻、離婚、親子関係、死亡といった身分関係を国が登録し、公に証明する制度。根拠法は1947年制定の戸籍法である。

特徴は、個人ではなく家族を単位に編製される点にある。1871年の壬申戸籍以来、戸籍は「家」を単位として戸主を筆頭に家族を記載してきた。戦後、家制度の廃止にともなって単位は夫婦と未婚の子に組み替えられたが、家族をひとまとまりで登録する骨格は残った。ひとつの戸籍に入る者は同じ氏を称するという原則も維持されており、これが夫婦同氏の強制と結びついている。選択的夫婦別姓が制度設計の難題とされるのは、戸籍の編製原理そのものに触れるからである。

差別に用いられてきた歴史も持つ。壬申戸籍は身元調査を通じた部落差別に利用され、現在は閲覧が禁じられている。婚外子の続柄記載や相続分の扱いも長く争われてきた。

近年は行政のデジタル化と結びつき、2024年に戸籍証明書の広域交付が始まり、2025年5月には氏名の振り仮名が記載事項に加わった。個人を識別する基盤としての性格が強まっている。家族を守る記録なのか、国家が個人を把握する装置なのか。戸籍は両方の顔を持ち続けている。

→明治民法と家制度 →日本国憲法24条 →選択的夫婦別姓 →近代家族

参考文献

この記事を書いた人