SNSのハッシュタグを目印に、個人の経験や抗議の声を束ね、性差別を社会の問題として見えるようにするフェミニズムの実践。2010年代に広がり、第4波フェミニズムを特徴づける手法とされる。代表例は、性暴力の告発が世界規模に広がった#MeToo(2017年〜)である。日本では、職場でのパンプス着用の強制に異議を唱えた#KuToo(2019年)が国会で取り上げられ、厚生労働相の答弁を引き出した。ばらばらだった「わたしの経験」が同じタグのもとに集まると、それが個人の不運ではなく構造の問題だと見えてくる。「個人的なことは政治的である」という第2波の標語を、ネット上で実装したものと言えるだろう。一方で、タグを付けるだけで参加した気になるスラックティビズム(怠け者の社会運動)だという批判や、声を上げた人に攻撃が集中するという問題も抱える。2020年代には、日常の小さな行動で性差別に抗うマイクロフェミニズムもSNSで広がった。声を束ねることと、日々を少しずつ変えること。その二つがどう結びつくのかが問われている。
→第4波フェミニズム →#MeToo →#KuToo →個人的なことは政治的である →マイクロフェミニズム →スラックティビズム
参考文献
- 石川優実『#KuToo──靴から考える本気のフェミニズム』2019年、現代書館
- 「日常に潜む“固定観念”を覆す─「マイクロフェミニズム」を実践する女性たち」クーリエ・ジャポン(Yahoo!ニュース、2026年5月31日) https://news.yahoo.co.jp/articles/cd6e2f6f565cb613b334eaeb81596704d3bdd36a
- 「マイクロ・フェミニズム(micro-feminism)」日本女性学習財団 キーワード・用語解説 https://www.jawe2011.jp/keyword/7903