性別を理由に、人の扱いや評価、機会に差をつけること。個人の言動として現れることもあれば、制度や慣行のかたちで働くこともあり、多くの場合その両方が支え合っている。

見えやすいのは前者だ。侮辱、ハラスメント、「女のくせに」という決めつけ。だが実際に大きな不利益を生むのは後者のほうである。一見すると性別と無関係なルールが、結果として特定の性別に不利に働く——たとえば全国転勤に応じられることを昇進の条件にすれば、家庭のケアを担う人が排除される。これを間接差別と呼び、日本の男女雇用機会均等法にも規定がある。

ここで重要なのは、差別を測る基準が「悪意があったか」ではなく「どんな効果を生んだか」だという点である。女性差別撤廃条約は差別を、目的または効果において権利の享有を害するものと定義した。そのつもりはなかった、という弁明は、結果を取り消さない。

不利益をこうむるのは女性だけではない。性的マイノリティも、また「男は泣くな」と言われる男性も、同じ仕組みの内側にいる。ただしその重さは均等ではなく、人種や階級、障害の有無と交差して深まっていく。

自分がその仕組みのどちら側にいるのかは、たいてい不利益を受けている側からしか見えない。

→ジェンダーバイアス →ミソジニー →家父長制(patriarchy) →特権 →インターセクショナリティ入門 →フェミニズム

参考文献

  • 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」第1条(1979年採択、日本は1985年批准)
  • 男女雇用機会均等法 第7条および同法施行規則(間接差別の規定)
  • キャロライン・クリアド=ペレス『存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』神崎朗子訳、河出書房新社、2020年
  • 井上輝子『日本のフェミニズム——150年の人と思想』有斐閣、2021年

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