同性愛や同性愛者に対する嫌悪、偏見、恐怖。1970年前後から使われるようになった語で、語尾のフォビア(恐怖症)は比喩であり、医学的な恐怖症を指すわけではない。
現れ方は幅広い。あからさまな暴言や暴力から、「気持ち悪い」という反射的な反応、笑いのネタとして消費すること、そもそも話題にしないという不可視化まで含まれる。制度のかたちでも働き、同性どうしの婚姻を認めない法制度はその一例である。
この嫌悪は、しばしば男性性の維持と結びついて作動する。ホモソーシャルな集団では、同性愛者と見なされないことが成員でいるための条件になり、「男らしくない」とされた男性を排除する圧力として働く。つまりホモフォビアは、同性愛者だけでなく、すべての男性を規範に縛りつける装置でもある。
自分自身に向かう場合を、内面化されたホモフォビアと呼ぶ。誰かに向けられた嫌悪を、自分の内側で自分に向けてしまう状態で、当事者の健康や自己肯定感に長く影響する。
→ホモソーシャル →ヘテロノーマティビティ →有害な男らしさ →トランスジェンダー
参考文献
- 森山至貴『LGBTを読みとく——クィア・スタディーズ入門』ちくま新書、2017年
- イヴ・K・セジウィック『男同士の絆——イギリス文学とホモソーシャルな欲望』上原早苗・亀澤美由紀訳、名古屋大学出版会、2001年