23.ケアの倫理
ケアの倫理(ethics of care)
人が互いに依存し合う存在であることを出発点に据える倫理。自律した個人どうしが権利と義務を調整する、という近代倫理学の前提そのものを問い直すところに特徴がある。 起点は心理学者キャロル・ギリガンが1982年に発表した『もう […]
07. 労働
マミートラック
出産や育児を経て働き続ける女性が、責任の軽い業務や昇進の見込みの薄い部署に置かれ、キャリアの本線から外れていく状態。両立はできているのに、行き先が別の線路に切り替わっている、という比喩である。 言葉の由来は1989年のア […]
06. 法律と制度
抑圧
特定の集団が、社会のしくみによって継続的に不利な位置に置かれること。個人の悪意による嫌がらせとは区別される。加害者が特定できなくても、制度と慣習が回るだけで再生産されるところに、この語の要点がある。 整理としてよく参照さ […]
01.ジェンダー
性差別(sexism)
性別を理由に、人の扱いや評価、機会に差をつけること。個人の言動として現れることもあれば、制度や慣行のかたちで働くこともあり、多くの場合その両方が支え合っている。 見えやすいのは前者だ。侮辱、ハラスメント、「女のくせに」と […]
09.福祉と政策
フェミニストカウンセリング
心理的な困難を、個人の内面だけの問題として扱わず、その人が置かれた社会的な状況との関係で捉えるカウンセリングの実践。アメリカで生まれたフェミニスト・セラピィを源流とする。 出発点にあるのは、女性解放運動のなかで行われた意 […]
09.福祉と政策
アサーティブネス(assertiveness)
自分の考えや気持ちを、相手を尊重しながら率直に伝えるあり方。攻撃的に押し通すのでもなく、我慢して飲み込むのでもない、第三の道として位置づけられる。日本では「アサーション」とも呼ばれる。 もとは1950年代の行動療法から出 […]
01.ジェンダー
ジェンダー規範(gender norms)
ある性別に属する人はこう振る舞うべきだ、という社会の期待の総体。服装、話し方、感情の出し方、就く職業、家庭での役割まで含む。 ステレオタイプと似ているが、働き方が違う。ステレオタイプは「〜であるはずだ」という記述であるの […]
19.男性学
弱者男性
経済的・社会的に不利な立場にあると自認する男性を指す語。2000年代以降のネット言論のなかで広まった。収入や雇用の不安定さ、社会的な孤立、恋愛や結婚から遠ざけられている感覚などが、この語のもとで語られる。 指し示している […]
04. 家族・親密圏
伝統的家族
夫が働き妻が家庭を守り、親子が同居して家を継いでいく——そうした家族の形を「日本古来のもの」として語る言い方。政治的な主張の場面で持ち出されることが多い。 ここで確認しておきたいのは、この「伝統」がそれほど古くないことで […]
18.社会運動
コンシャスネス・レイジング(consciousness raising)
少人数で集まり、自分の経験を順に語っていく実践。1960年代末のニューヨーク・ラディカル・ウィメンで、キャシー・サラチャイルドらによって方法として定式化された。 やり方は単純である。テーマを決め、参加者が順番に自分の経験 […]
18.社会運動
フェミニズム(feminism)
性差別と、それを支える構造をなくそうとする思想と運動の総称。「女性のための運動」と要約されがちだが、より正確には、性別を理由に誰かの生き方が狭められることをやめさせようとする営みである。だから、男性が「男らしさ」に縛られ […]
23.ケアの倫理
セルフケア(self-care)
自分自身を手当てし、保つこと。ただしこの語は、由来の異なる二つの流れが合流してできている。 ひとつは医療・看護の系譜である。1970年代にドロテア・オレムが、人が自分の生命と健康を維持するために行う営みとしてセルフケアを […]
09.福祉と政策
エンパワーメント(empowerment)
力を得ること、あるいは奪われていた力を取り戻すこと。個人の能力向上ではなく、自分の生に関する決定権を握り直すという意味あいで使われてきた語である。 思想的な源流のひとつは、ブラジルの教育者パウロ・フレイレの識字教育にある […]
01.ジェンダー
男性学(men’s studies)
男性であることを、当たり前の基準ではなく、分析すべき対象として扱う研究領域。 前提としてまず押さえたいのは、男性学はフェミニズムへの対抗として生まれたのではないということである。むしろフェミニズムが「女性」を問うたことに […]
03.クィアと交差性
トランスジェンダー
出生時に割り当てられた性別と、自分が実感する性別とが一致しない人を指す語。トランス女性、トランス男性のほか、男女どちらにも収まらないノンバイナリーの人も含めて用いられることが多い。対義語として、割り当てられた性別と実感す […]
01.ジェンダー
特権(privilege)
社会の既定値の側にいることで、本人が求めなくても与えられている優位のこと。特別な待遇というより、考えなくて済むことの集まりである。 この捉え方を広めたのは、1988年にペギー・マッキントッシュが書いた「白い特権——見えな […]
01.ジェンダー
ミサンドリー(misandry)
男性への嫌悪や蔑視を指す語。ミソジニーの対義語として提示されることが多いが、両者を対称に扱えるかどうかが、この語をめぐる最大の論点である。 ミソジニーは、法制度、宗教、教育、労働慣行といった社会の仕組みに歴史的に組み込ま […]
19.男性学
メンズライツ運動(men’s rights movement)
男性が直面する不利益の是正を掲げる運動。マスキュリズムとも呼ばれる。離婚後の親権や面会交流、労働災害死や自殺率の男女差、男性のDV被害の見えにくさなどを論点とする。 指摘そのものには、事実にもとづくものが少なくない。日本 […]
03.クィアと交差性
ホモフォビア(homophobia)
同性愛や同性愛者に対する嫌悪、偏見、恐怖。1970年前後から使われるようになった語で、語尾のフォビア(恐怖症)は比喩であり、医学的な恐怖症を指すわけではない。 現れ方は幅広い。あからさまな暴言や暴力から、「気持ち悪い」と […]
01.ジェンダー
ホモソーシャル(ホモソ)(homosocial)
同性間の、性愛を含まない社会的な結びつき。とくに男性同士の連帯を指して使われる。文学研究者イヴ・K・セジウィックが1985年の『男同士の絆』で理論化した。 セジウィックの指摘の核心は、男性同士の絆が単なる友情ではなく、* […]